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犬の換毛期の皮膚ケア ブラッシングと蒸れ予防

2026年10月12日

秋になって、愛犬の抜け毛が急に増えた——それは夏毛から冬毛へ生え替わる「換毛期」かもしれません。この記事では、換毛期が起こる時期としくみ、換毛期がはっきりある犬・目立たない犬の違い、抜け毛を放っておくと皮膚が蒸れやすくなる理由、毛質に合ったブラシの選び方と基本の手順、毛玉ができやすい場所、動物病院に相談したい抜け毛の目安まで、やさしくご紹介します。

「朝起きたら、床のすみに毛のかたまりが転がっている」「なでるたびに、手のひらに毛がごっそりついてくる」——秋風が吹きはじめるころ、愛犬の抜け毛の多さに驚いている飼い主さんも多いのではないでしょうか。掃除が追いつかないのも大変ですが、「こんなに抜けて大丈夫なのかな」と、少し心配にもなりますよね。

この時期の抜け毛の多くは、夏毛から冬毛へと生え替わる「換毛期(かんもうき)」によるものです。季節に合わせた、からだの自然な衣替えのようなものなので、むやみに心配する必要はありません。

ただし、抜けた毛をそのままにしておくと、毛のなかに古い毛がたまって風通しが悪くなり、皮膚が蒸れやすくなります。結論からお伝えすると、換毛期に大切なのは次の3つです。①抜けかけた毛を、地肌に近いところからやさしく取り除く。②毛玉と蒸れをためない。③ブラッシングの時間を、皮膚の様子を見る時間にする。

この記事では、まず換毛期がいつ・なぜ起こるのかを整理したうえで、ブラシの選び方と手順、蒸れを防ぐ日々の工夫、そして動物病院に相談したい抜け毛の目安まで、順にご紹介していきます。

換毛期ってなに? いつ起こるの?

秋の窓辺でくつろぐゴールデン・レトリーバー

年に2回の「からだの衣替え」

換毛期とは、季節の変化に合わせて被毛(ひもう:からだをおおう毛のこと)が生え替わる時期のことです。一般的には、年に2回あるといわれています。

  • 春(おおむね3〜6月ごろ):寒さをしのぐための冬毛が抜けて、軽く通気性のよい夏毛に生え替わる
  • 秋(おおむね9〜11月ごろ):夏毛が抜けて、保温性の高い密な冬毛に生え替わる

生え替わりにかかる期間は、数週間から1か月ほどが目安です。春は密な冬毛がまとめて抜けるため、抜け毛の量にいちばん驚きやすい時期。秋は夏毛が抜けて冬毛が生えそろっていく時期で、これから来る寒い季節に備えるための大切な準備期間でもあります。

換毛のきっかけには、日照時間(日が出ている時間の長さ)や気温の変化が関わっていると考えられています。日が短くなってくると、からだが「そろそろ冬支度を」と受け取り、冬毛への生え替わりが始まる——そんなイメージです。

換毛期がはっきりある子・目立たない子

じつは、すべての犬に同じように換毛期があるわけではありません。カギになるのは、毛の「構造」です。

犬の被毛には、大きく分けて2種類の毛があります。

  • オーバーコート(上毛):外側の、少しかためでしっかりした毛。紫外線や汚れ、雨などから皮膚を守る役目
  • アンダーコート(下毛):内側に密集する、やわらかく細い綿毛のような毛。体温を保つ役目

この2種類の毛をもつ犬を「ダブルコート」、主にオーバーコートだけをもつ犬を「シングルコート」と呼びます。換毛期に大量に抜けるのは、主にアンダーコートです。そのため、換毛期がはっきり現れるのはダブルコートの犬になります。

タイプ犬種の例換毛期の目立ち方
ダブルコート柴犬・秋田犬などの日本犬、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ポメラニアン、ウェルシュ・コーギー、チワワ、ミニチュア・ダックスフンド、フレンチ・ブルドッグ など春と秋に、まとまって抜けやすい
シングルコートトイ・プードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、イタリアン・グレーハウンド、ミニチュア・ピンシャー などはっきりした換毛期は目立ちにくい
飼い主の指がコーギーの毛をかき分け、根もとのやわらかいアンダーコートが見えている様子

同じ犬種でも、個体によって毛の量や抜け方には差があります。ミックス犬の場合は、両親の毛質によってどちらにも近くなります。「うちの子はどっちだろう?」と迷ったら、毛をかき分けてみて、根もとにやわらかい綿毛が密集しているかどうかを見てみてください。

なお、シングルコートの犬も、毛がまったく抜けないわけではありません。毛は一本一本、一定のサイクルで生え替わっているので、季節に関係なく少しずつ抜けています。また、抜けた毛が周りの毛にからまって残りやすいため、毛玉ができやすい子も少なくありません。換毛期がない子にも、ふだんのブラッシングは大切です。

室内で暮らす子は「だらだら抜ける」ことも

室内で一年中エアコンの効いた環境にいると、からだが季節の変化を感じとりにくくなります。その結果、換毛期がはっきりしなくなり、一年を通してだらだらと毛が抜け続けることがあるといわれています。

「いつも抜けているから、換毛期がよくわからない」という場合は、このタイプかもしれません。毎日の散歩などで外の空気に触れる時間は、季節を感じるきっかけのひとつにもなります。

抜け毛を放っておくと、皮膚にはどんなことが起こる?

床に落ちた抜け毛のかたまりと、奥で穏やかに寝そべるラブラドール・レトリーバー

古い毛がたまると、皮膚が蒸れやすくなる

換毛期に抜けるアンダーコートは、すぐに床に落ちるとはかぎりません。抜けた毛の多くは、まだ生えている毛のあいだに引っかかったまま残ります。これがたまると、毛の内側がフェルトのように詰まった状態になります。

すると、皮膚のまわりの風通しが悪くなり、熱や湿気がこもりやすくなります。人でいえば、汗をかいたまま厚手のセーターを脱げずにいるような状態です。

さらに、詰まった毛がからみあうと毛玉になります。毛玉は皮膚を引っぱって不快感のもとになるうえ、その下の皮膚は蒸れやすく、汚れもたまりやすくなります。かゆみや不快感からからだをかいたりなめたりするうちに、皮膚を傷つけてしまうこともあります。

秋は「乾燥」との組み合わせにも気をつけたい

秋は、夏ほどの湿気はないものの、少しずつ空気が乾きはじめる季節です。毛の内側は蒸れているのに、表面は乾燥している——そんなちぐはぐな状態にもなりやすく、皮膚の状態が変わりやすい時期といえます。

だからこそ、換毛期のお手入れは「抜け毛を取る=掃除を楽にする」だけでなく、皮膚のまわりの風通しを保ち、皮膚の様子に気づくための時間でもあると考えてみてください。

(夏の蒸れや、指の間・耳など部位ごとの蒸れ対策については、別記事「夏の犬の皮膚トラブル 蒸れ・かゆみを防ぐ習慣」「梅雨〜夏の犬 指の間・耳の蒸れ対策のきほん」でくわしくご紹介しています)

換毛期のブラッシング、どうすればいい?

毛質に合わせたブラシの選び方

ブラシは種類が多く、どれを選べばいいか迷いますよね。代表的なものを、役割ごとに整理しました。

種類形・特徴向いている使い方
スリッカーブラシ細く曲がった金属のピンが密集したブラシもつれをほぐす、抜け毛をかき出す。長毛・ダブルコート向き
ピンブラシピンの先が丸く、間隔が広いブラシ長い毛の表面を整える。皮膚あたりがやさしい
コーム(くし)金属製のくし。目の粗い側と細かい側がある仕上げのチェック、毛玉の確認、細かい部分
ラバーブラシゴム製でやわらかい突起があるブラシ短毛の犬の抜け毛取り。マッサージ感覚で使える
抜け毛取り専用ブラシ(アンダーコート用)刃状・くし状の歯でアンダーコートをとらえるダブルコートの換毛期に、まとめて抜け毛を取る
木のテーブルに並んだスリッカーブラシ・ピンブラシ・コーム・ラバーブラシと、のぞきこむミニチュア・ダックスフンド

迷ったら、「もつれをほぐす道具(スリッカーやピンブラシ)」と「確認用のコーム」の2本をそろえるところから始めると安心です。短毛の子なら、ラバーブラシとコームの組み合わせで十分なことも多いです。

抜け毛取り専用ブラシは、短時間でたくさんの毛が取れるのが魅力ですが、使い方によっては必要な毛まで取りすぎたり、皮膚を傷つけたりすることがあります。使うときは、力を入れず、同じ場所に何度も当てないようにしてください。使い方に不安があれば、トリミングサロンで相談してみるのもひとつの方法です。

基本の手順(5ステップ)

ひざの上のポメラニアンの耳の後ろを、コームでやさしくとかす飼い主
  1. からだを軽くなでて、様子を確かめる:いきなりブラシを当てず、まずは手でなでながら、毛玉や皮膚の赤みがないかを確認します
  2. 毛玉があれば、先にほぐす:毛玉の根もとを指で押さえ、皮膚が引っぱられないようにしながら、毛先から少しずつほぐします。かたい毛玉は無理にほどかず、トリマーさんに相談を
  3. 毛の流れにそって、根もとからとかす:毛を少しずつかき分け、地肌に近いところから毛の流れにそってとかします。表面だけをなでても、内側の抜け毛は取れません
  4. 抜け毛取りは、仕上げに軽く:ダブルコートの子は、ある程度ほぐれたところで抜け毛取りのブラシを使い、浮いてきたアンダーコートを取り除きます
  5. コームで最終チェック:コームが根もとまでスッと通れば完了です。引っかかるところは、まだ毛がからんでいるサインです

換毛期のあいだは、ふだんより回数を増やし、ダブルコートの子ならできれば毎日、少しずつとかしてあげるのが理想です。一度に全身を完璧にしようとせず、「今日は背中とおなか、明日は足とお尻まわり」のように分けても大丈夫です。

やりすぎにも気をつけて

抜け毛がどんどん取れると、つい夢中になってしまいますよね。でも、次のような「やりすぎ」は皮膚の負担になります。

  • 同じ場所を何度もくり返しとかす
  • スリッカーブラシを皮膚に押しつけるようにして使う
  • 毛が取れなくなるまで、長時間続ける

スリッカーブラシの細いピンは、強く当てると皮膚をひっかいてしまうことがあります。ブラシは「持つ」より「添える」くらいの力で、手首をやわらかく使うのがコツです。自分の腕の内側に軽く当ててみて、痛くない力加減を確かめておくのもおすすめです。

ブラッシングのあとに皮膚が赤くなっていたら、力が強すぎたり、同じ場所を長くとかしすぎたりしたサインかもしれません。次回は時間を短くするなど、調整してあげてください。

ブラッシングが苦手な子には

ブラシを見ると逃げてしまう子もいますよね。そんなときは、無理に押さえつけず、少しずつ慣らしていきましょう。

  • 最初は数十秒だけ。嫌がる前に終わらせる
  • 背中など、触られて嫌がりにくい場所から始める
  • 終わったら、ほめる・おやつをあげるなど「いいこと」で締める
  • 足先・しっぽ・おなかなど、苦手な場所は後回しにする

「ブラッシングの時間=飼い主さんにかまってもらえるうれしい時間」と感じてもらえるようになると、換毛期のお手入れがぐっと楽になります。

蒸れを防ぐ、日々のひと工夫

毛玉ができやすい場所を知っておく

毛玉は、からだのなかでもこすれやすく、湿気がこもりやすい場所にできやすい傾向があります。ブラッシングのときは、次の場所をとくに意識して確認してみてください。

  • 耳の後ろ・耳のつけ根
  • 首輪や胴輪(ハーネス)が当たる部分
  • 脇の下・前足のつけ根
  • 内股・後ろ足のつけ根
  • お尻まわり・しっぽのつけ根

ふだん目につきにくく、触られるのを嫌がる子も多い場所ばかりです。だからこそ、気づいたときには大きな毛玉になっていた、ということが起こりやすいのです。

シャンプーは「ブラッシングのあと」に「しっかり乾かす」

シャンプー後、タオルにくるんだ犬をドライヤーで乾かす飼い主

換毛期にシャンプーをすると、浮いている毛が落ちやすくなります。ただし、ポイントが2つあります。

ひとつは、シャンプーの前にブラッシングをしておくこと。抜け毛やもつれが残ったまま濡らすと、毛が固まってほぐれにくくなり、地肌までお湯やシャンプーが届きにくくなります。

もうひとつは、地肌までしっかり乾かすことです。毛の量が増える冬毛の時期は、表面が乾いていても根もとが湿っていることがよくあります。生乾きのままだと、それこそ蒸れのもとになってしまいます。ドライヤーの温風を当てながら、ブラシで毛をかき分けて根もとに風を通すのがコツです。熱くなりすぎないよう、ドライヤーは少し離して使ってください。

なお、抜け毛を早く取りたいからといって、シャンプーの回数を増やしすぎると、皮膚のうるおいを奪いすぎてしまうことがあります。頻度はふだんのペースを基本に、気になることがあればかかりつけの獣医師やトリマーさんに相談してください。

「短く刈る」は慎重に

「いっそ短く刈ってしまえば楽なのでは」と考える方もいるかもしれません。たしかにお手入れはしやすくなりますが、被毛には紫外線や虫、寒さなどから皮膚を守る役目もあります。

とくにダブルコートの犬は、極端に短くすると、その後の毛の生えそろい方が変わることがあるともいわれています【要確認】。カットについては、犬種や毛質をよく知るトリマーさんと相談しながら決めるのが安心です。

暮らしの環境も整える

  • 寝床やブランケットをこまめに洗う:抜け毛や皮脂がたまりやすい場所です
  • 掃除の回数を増やす:床に落ちた毛は、ホコリと混ざって舞い上がりやすくなります
  • 室内の湿度に気を配る:暖房を使いはじめると空気が乾きやすくなります。加湿器などで、人もうちの子も過ごしやすい湿度を保ちましょう
  • 服は慣れている子だけに:服を着せると抜け毛の飛び散りを抑えられますが、嫌がる子に無理に着せる必要はありません。着せる場合は、こすれる部分に毛玉ができていないか、ときどき確認を

ブラッシングは「皮膚を見る時間」にも

毎日のブラッシングは、ふだんは毛に隠れている皮膚を、自然に見られる貴重な機会です。毛をかき分けたとき、次のような点をさっと確認する習慣をつけておくと、ちょっとした変化に早く気づけます。

  • 赤み・ブツブツ・かさぶたがないか
  • フケが急に増えていないか
  • においやベタつきが、いつもと違っていないか
  • 毛が薄くなっている場所がないか
  • 小さなしこりや、さわると嫌がる場所がないか
  • ノミやマダニなどがついていないか

「いつもと違う」に気づけるのは、毎日そばにいる飼い主さんだからこそです。気になる場所を見つけたら、スマートフォンで写真を撮っておくと、動物病院で相談するときに役立ちます。

こんな抜け毛は、動物病院に相談を

換毛期の抜け毛は自然なものですが、なかには換毛期とは別の理由で毛が抜けていることもあります。次のような様子が見られるときは、「換毛期だから」と自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談してください。

  • 季節に関係なく、急に大量の毛が抜けはじめた
  • 地肌が透けて見えるほど、毛が薄くなっている場所がある
  • 円形や左右対称に、毛が抜けている
  • しきりにかゆがる、同じ場所をなめ続ける・かき続ける
  • 皮膚に赤み、ただれ、かさぶた、強いにおいがある
  • 抜け毛とあわせて、元気や食欲がない、水をよく飲むなど、ほかの変化もある

皮膚や被毛の変化には、皮膚そのものだけでなく、からだの内側の変化が関わっていることもあります。原因を見きわめるには専門的な検査が必要なこともあるので、早めに相談しておくと安心です。

季節の衣替えを、うちの子とのふれあいの時間に

秋の夕方、ソファでロングコート・チワワと寄り添ってくつろぐ飼い主

ここまで、換毛期が起こる時期としくみ、ダブルコートとシングルコートの違い、抜け毛が皮膚の蒸れにつながる理由、ブラシの選び方と手順、そして日々の工夫と相談の目安をご紹介してきました。

あらためて整理すると、換毛期のお手入れで大切なのは、地肌に近いところからやさしくとかすこと、毛玉と蒸れをためないこと、そして皮膚の様子に目を向けることの3つです。

換毛期は、毛がたくさん抜けて掃除も大変な時期ですが、見方を変えれば、うちの子がしっかり季節を感じて、次の季節への準備をしているしるしでもあります。毎日の数分のブラッシングが、うちの子にとっても飼い主さんにとっても、ほっとするふれあいの時間になればうれしいです。

私たちM&N’s(エムアンドエヌズ)は、「キミを想う、キミに寄り添う」ナチュラルウェルネスプロダクトブランドとして、皆様の健やかな暮らしを応援しています。

ふかふかの冬毛に包まれたうちの子と、あたたかな季節を過ごしていけますように。

投稿者

  • M&N'sCBDのスタッフである商品開発米山と、マーケティング担当鈴木でコラムを更新しています。商品のこと、CBDのこと、よくあるお客様の声などについて詳しくご紹介します。