散歩の途中や、寝起きに愛犬が片足をかばって歩いている——そんなとき、すぐ病院に行くべきか、少し様子を見てよいのか迷いますよね。この記事では、足を引きずるときに考えられる原因の広がり、急に始まった場合とゆっくり始まった場合の違い、すぐに受診したいサイン、病院へ行くまでに家でできること・してはいけないこと、受診のときに役立つ動画の撮り方まで、やさしく整理してご紹介します。
「散歩から帰ってきたら、後ろ足を少し浮かせて歩いている」「寝起きだけ、片方の前足をかばうようにしている」——愛犬のそんな姿に気づくと、「どこか痛いのかな」「すぐ病院に行ったほうがいいのかな」と、心配になりますよね。
犬が足を引きずったり、かばったりして歩くことを、獣医療では「跛行(はこう)」と呼びます。原因は、足の裏の小さなけがから、関節や骨、神経の病気まで、とても幅が広いのが特徴です。
結論からお伝えすると、迷ったときに大切なのは次の3つです。①すぐ受診したいサインがないかを確かめる。②家では安静にして、自己判断で薬を与えない。③歩き方を動画に撮って、早めに獣医師に相談する。
この記事では、考えられる原因の広がり、受診の目安、病院へ行くまでの過ごし方を順に整理していきます。原因を家で特定することはできませんが、「どう動けばいいか」の見通しを持つ手助けになればうれしいです。
目次

足を引きずる理由は、目に見える足先のトラブルだけではありません。大まかには、次のような場所に原因があることが知られています。
| 原因がある場所 | 例 |
|---|---|
| 足先・肉球・爪 | 切り傷、トゲや草の実などの異物、爪の割れ・伸びすぎ、指の間の炎症 |
| 筋肉・靱帯(じんたい) | ねんざ、肉離れ、靱帯のけが |
| 関節 | 膝のお皿(膝蓋骨)が外れやすい状態、関節の炎症、股関節やひじの形の異常 |
| 骨 | 骨折、成長期に起こる骨の病気、骨の腫瘍 |
| 神経・背骨 | 椎間板(ついかんばん)の病気など、神経の通り道のトラブル |
同じ「足を引きずる」でも、原因によって必要な対応はまったく違います。だからこそ、家で原因を決めつけず、獣医師に診てもらうことがいちばんの近道になります。
「うちの子は小型犬だから」「もう年だから」と当てはめたくなりますが、これはあくまで傾向です。どの年齢・体格の子にも、どんな原因も起こりえます。
(シニア期の関節まわりのケアについては、既存記事「愛犬・愛猫の関節痛対策」もあわせてご覧ください)

獣医師が最初に聞くことのひとつが、足を引きずりはじめたのが「急に」か「少しずつ」かです。原因をしぼりこむ大事な手がかりになるので、思い出せる範囲で整理しておきましょう。
散歩中や遊んでいる最中、ジャンプや段差の上り下りのあとなど、きっかけがはっきりしていることが多いパターンです。足先のけがや異物、ねんざ、靱帯のけが、骨折などが考えられます。
シニアの犬では、ふだんどおり過ごしていたのに、ある日突然、片方の後ろ足をまったく地面につけなくなる——ということもあります。
「寝起きだけ歩き方がぎこちない」「散歩の後半になると足を気にする」「なんとなく前から少しかばっていた」というように、ゆっくり目立ってきたパターンです。関節の変化など、長く続いている体の変化が関わっていることがあります。
ゆっくり進むぶん、「年のせいかな」と見過ごされやすいのですが、早めに見つかったほうが選べる対応が多い病気もあるとされています。少しずつの変化こそ、遠慮なく相談してください。

次のような様子があるときは、様子を見ずに、できるだけ早く動物病院に連絡してください。夜間や休日なら、夜間救急に対応している病院を探しましょう。
とくに、後ろ足に力が入らない、ふらつく、足の甲を地面にすって歩くといった様子は、背骨や神経のトラブルのこともあります。急いで受診してください。
「軽くかばっている程度で、ほかは元気」という場合は、まずは安静にして様子を見ることもあります。ただし、その場合も目安を決めておくことが大切です。
こうした場合は、軽く見えても受診してください。また、迷ったときは電話で動物病院に相談するだけでも、受診すべきかの判断がつきやすくなります。
散歩や遊び、ジャンプ、階段の上り下りはお休みにします。ソファやベッドへの飛び乗りを防ぐため、必要ならサークルやケージで過ごしてもらいましょう。抱っこで移動するときは、痛い足に触れないように、体全体を支えてあげてください。

明るい場所で、肉球や指の間、爪をそっと見てみます。
ただし、痛がる足を無理に曲げたり伸ばしたりするのは避けてください。けがを悪化させたり、驚いた犬にかまれてしまったりすることがあります。深く刺さった異物も、無理に抜かずにそのまま受診しましょう。
人に使う痛み止めの中には、犬にとって有害な成分を含むものがあります。少量でも体に大きな負担がかかることがあるので、家にある薬を自己判断で与えることは、絶対に避けてください。以前に動物病院でもらった薬が残っている場合も、使う前に必ず獣医師に確認しましょう。

犬は、病院に着くと緊張や興奮で痛みを隠し、ふだんどおりに歩いてしまうことがよくあります。だからこそ、家での歩き方を動画に撮っておくことが、診察の大きな手がかりになります。
病院では、歩き方の観察や、足・関節を手でさわっての確認、必要に応じてレントゲンなどの検査が行われます。事前の情報が多いほど、診察がスムーズに進みます。

足を引きずる原因はさまざまで、すべてを防ぐことはできません。それでも、ふだんの暮らしの中で、足元への負担を減らす工夫はあります。
(床や段差の工夫は、別記事「シニア犬の住環境づくり 滑らない床と段差の工夫」で、肉球のお手入れは「犬の肉球ケア」でくわしくご紹介しています)

ここまで、犬が足を引きずるときに考えられる原因の広がり、「急に」と「少しずつ」の違い、すぐに受診したいサイン、家でできること、受診に役立つ動画とメモについてご紹介してきました。
あらためて整理すると、大切なのは、すぐ受診したいサインを見逃さないこと、家では安静にして自己判断で薬を与えないこと、そして歩き方を記録して早めに獣医師に相談することの3つです。
犬は痛みを隠すのが上手な動物だといわれます。だからこそ、「いつもと少し違う」に気づけるのは、毎日そばにいる飼い主さんならでは。迷ったときは、ひとりで抱えこまず、専門家の力を借りてくださいね。
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