膠芽腫(こうがしゅ)とは
膠芽腫は脳の神経細胞を支える神経膠細胞(星細胞,未分化グリア)が腫瘍化したもので、悪性度の強い腫瘍です。
現在は開頭手術、放射線治療、テモゾロマイド(抗がん剤)の服用などの治療が行われていますが、進行が早く、5年生存率は約10%、(10年生存率はほとんど0%に近い)確定診断後の平均余命は約14か月ととても厳しいのが現状です。
膠芽腫は悪性腫瘍の中でも最も頻度の高い腫瘍であることから世界中で盛んに研究が進められており、そんな中、2021年2月に発表された研究論文では、カンナビノイドの一種である「CBG」が膠芽腫の治療に有効である可能性が示されました。
CBG(カンナビゲロール)とは?
CBG(カンナビゲロール)は、ヘンプに含まれる「カンナビノイド」と呼ばれる有効成分のひとつ。
知名度の高いカンナビノイドとしては「CBD」や「THC」が挙げられ、CBGはマイナーながらも単体でも数多くの効果をもたらすことがわかっている成分です。
CBGの主な効果としては、
・抗菌作用
・抗炎症作用
・鎮痛作用
・神経保護作用
・抗うつ作用
・骨の成長の促進
・癌腫瘍の抑制
などが研究からわかってきています。
【最新の研究】CBGが膠芽腫の治療に示す可能性
2021年2月、Cells(https://www.mdpi.com/journal/cells)で公開された細胞培養研究で、CBGが神経膠芽腫の進行を抑制するのに有効であるという研究が発表されました。
研究では、神経膠芽腫腫瘍細胞および神経膠芽腫幹細胞に対するCBG、THC、CBDの細胞毒性、アポトーシス、抗浸潤作用が調査され、
・CBGとTHCは、神経膠芽腫腫瘍細胞および神経膠芽腫幹細胞の両方のタイプの細胞の生存率を同程度に低下させた
・CBDとCBGの組み合わせは、THCよりも効率的であった
・CBGに膠芽腫が抗がん剤に耐性をもつ原因とされる「膠芽腫幹細胞」を破壊する可能性がある
・CBG・CBDが治療に用いられるテモゾロミドと同様に膠芽腫の浸潤を抑制する
ということが分かりました。
CBGはこれまでの研究でも乳がんや前立腺がん、結腸直腸がんなどの細胞増殖を低下させることが報告されていますが、治療の困難な膠芽腫に対する可能性もあるということです。
THCは、疾患に対する治療効果を持つ反面、精神作用があるため使用できない国も多くあります。
一方、CBDやCBGにはそういった精神作用や依存性もなく使用できることがわかっています。
この研究から、膠芽腫に対しCBD・CBGのみでもTHCに代わる有効性があることが示されたのです。
CBDにおける膠芽腫の研究結果も
また、2020年発表された論文ではにはCBDの膠芽腫に対する結果も示され、CBDが癌細胞の成長を遅らせ、神経膠芽腫の細胞株に毒性を示すことがわかりました。
CBDの抗癌特性についてはこれまでも熱心に研究が進められており、基礎研究においては、CBDが健康な細胞に影響することなく、癌細胞のみにアポトーシスを引き起こすこともわかっています。
膠芽腫は、治療が進歩しても生存率が改善されていないのが現状です。
CBDやCBGの膠芽腫に対する効果はまだ研究段階ですが、今後研究が進めば膠芽腫の治療のさらなる進歩に貢献することができるかもしれませんね。
※CBD・CBGの効果に関しては研究段階です。
使用の際は必ず医師に相談するようにしましょう。
・Cannabigerol Is a Potential Therapeutic Agent in a Novel Combined Therapy for Glioblastoma
・Cannabidiol Induces Apoptosis and Perturbs Mitochondrial Function in both Human and Canine Glioma Cells
・Cannabidiol Enhances the Inhibitory Effects of Δ9-Tetrahydrocannabinol on Human Glioblastoma Cell Proliferation and Survival
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