「CBDは肝臓に悪いって本当?」と不安に思う飼い主さんへ。ペット用CBDオイルと肝臓の数値の関係について、マウス実験や犬の臨床研究をもとにわかりやすく解説。MCTオイルなどキャリアオイルの影響や、ALT・ASTといった肝酵素の仕組みにも触れながら、安全にCBDを使うためのヒントをお届けします。獣医師との相談を前提に、愛犬・愛猫の健康を守るための情報を信頼性高くまとめた保存版コラムです。
はじめに:CBDを使ってみたい。でも「肝臓に悪い」って本当?
最近は、ペット用CBDオイルが「不安の緩和」「シニア犬のケア」「皮膚トラブルのサポート」などで注目されるようになってきました。 一方で、ネット上には「CBDで肝臓の数値が上がる」「副作用があるかも」といった不安な情報も見かけます。
特に、すでに健康に気を配っている飼い主さんにとっては、「使ってみたいけど、本当に安全なの?」というのが正直な気持ちではないでしょうか。
そこで本記事では、CBDと肝臓数値の関係性について、科学的な根拠と獣医師の見解をもとにわかりやすく整理 。加えて、CBDオイルに含まれるMCTなどのキャリアオイルの影響についても正直に解説 します。
不安を安心に変える、知識の第一歩になれば幸いです。
肝臓の数値が「高い」と言われるのはどんなとき?
血液検査で「肝臓の数値が高めです」と言われた経験がある方も多いと思います。 これは、以下のような酵素の値が基準より高くなることを指します:
ALT(GPT) :肝細胞の損傷時に増える酵素
AST(GOT) :肝臓や筋肉の障害で上昇
ALP :胆道の異常やホルモンの変化でも上がる
GGT :胆汁の流れが悪い時に上昇
これらの数値が上がる原因には、薬の副作用、加齢、感染症、代謝異常などさまざまな要素があります。 そして今、「CBD」がそれらの一因ではないか?という懸念もあるわけです。
CBDは肝臓に負担をかける?最新の研究から読み解く
元になった「肝臓への影響」説の正体
CBDと肝臓の関係でよく話題になるのが、2019年にアメリカで行われたマウスを対象とした実験 です。この研究では、高用量のCBDを与えたマウスの一部で肝酵素の上昇や肝障害が見られました。
しかし、この研究には注意すべき点があります:
投与量が非常に高い (人間換算で約1400mg/日以上)
CBD単体(アイソレート)のみを使用
マウスの代謝は犬や猫と大きく異なる
つまり、現実のペット用CBD製品とはまったく条件が異なる実験であり、その結果をそのまま犬猫に当てはめるのは適切ではありません 。
犬に対する研究ではどうか?
実際に犬を対象にしたCBDの研究(コーネル大学ほか)では、適量のCBD使用によって深刻な副作用は確認されておらず 、一部でALTの軽微な上昇が見られた程度でした。
このALTの変化も、CBDが肝臓酵素の働きに関与した可能性はあるものの、「肝臓に損傷を与えた」とするものではありません。
多くの獣医師も、「CBDは適切に使えば、安全性が高く、犬や猫の健康維持に有用である可能性がある」との見解を示しています。
CBDオイルに使われるキャリアオイルと肝臓への影響は?
CBDオイルは、CBD成分をキャリアオイルに希釈して作られます。代表的なキャリアオイルには以下のようなものがあります:
MCTオイル(中鎖脂肪酸) :ココナッツやパーム由来。吸収が早くエネルギーになりやすい
ヘンプシードオイル :オメガ脂肪酸を含む栄養価の高い植物油
オリーブオイル :酸化しにくく、やさしい風味
特にMCTオイルは、摂取後に門脈を通って肝臓で代謝されるため、過剰に摂れば肝臓に負担をかける可能性 があるとされています。
一方で、MCTオイルは医療栄養の分野において、てんかんの食事療法の一環として使われることもあり、エネルギー効率が高いオイルとして注目されています 。このように、代謝されやすい特性は「負担」だけでなく、「利点」としても活用されている面があるのです。
とはいえ、ペット用CBD製品に含まれるMCTの量は1回あたり数滴〜数mL程度と非常に少量 。 健康な犬猫が適量を摂取する分には、肝臓に悪影響を与える可能性は極めて低い と考えられます。
ただし、
すでに肝機能に問題を抱えている子
脂質に敏感な体質の犬猫
の場合は、使用前に獣医師と相談しながら慎重に進めることが推奨されます。
実際にCBDを使った飼い主さんの声
ケース1:12歳の柴犬ミミちゃん
「夜中に落ち着きなく歩き回るようになって、睡眠不足に…。CBDオイルを試したところ、よく眠れるようになり、検診でも肝臓の数値に大きな変化はありませんでした。むしろ安定していて、先生も続けていいと言ってくれました。」
ケース2:かゆみが続くトイプードル・くうちゃん
「ずっと皮膚をかきむしっていて、ステロイドも一時的には効くけど、長くは使えないのが悩みでした。そんなときに、CBDオイルが“身体の内側からバランスを整える”と聞き、食事に数滴加える形で始めました。使って2週間ほどで、かゆがる様子が落ち着いてきて、病院に行く回数も減りました。」
飼い主として、CBDを安全に使うためのポイント
CBDはサプリメントとして安全性が高いとされていますが、やはり「使い方」が大切です。以下のポイントを守ることで、より安心して使えます。
製品選びは慎重に
成分分析証明書(COA)がある製品
THCフリー(ペットに精神作用は不要)
添加物・香料が少ないものを選ぶ
少量から始めて様子を見る
初回は推奨量の半分〜3分の1から
食欲・便・行動に変化がないか確認
定期的な健康チェックを
1〜2ヶ月に一度の血液検査がおすすめ
既存の持病がある場合は必ず獣医師と相談 ※仮に肝臓の数値が上がってしまったとしても、CBDで得られる利点と肝臓の数値上昇の許容範囲を獣医師と相談しながら摂取を検討することができます。
まとめ:正しい知識が不安を安心に変える
「CBDで肝臓の数値が悪くなる」という不安について、実際には
正しい量で
信頼できる製品を使い
ペットの体質に配慮すれば
CBDは安全に使える可能性が高く、愛犬・愛猫の健康維持をやさしくサポートする手段のひとつ となり得ます。
大切なのは、「不安だからやめる」のではなく、「不安を正しい知識で解消し、納得して選ぶ」こと。 必要に応じて獣医師と相談しながら、自分とペットに合ったケアの選択肢を広げていく ことが、これからのペットライフをより豊かにしてくれます。 CBDは、その選択肢のひとつとして、安心して前向きに検討いただければ幸いです。
参考文献
1. Ewing LE, Skinner CM, Quick CM, Kennon-McGill S, McGill MR, Walker LA, et al.
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2. McGrath S, Bartner LR, Rao S, Packer RA, Gustafson DL.
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3. Vaughn DM, Paulionis LJ, Kulpa JE, Cital S, Dowling-Guyer S, Golomb I, et al.
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4. PetMD.
CBD Oil for Dogs: What You Need to Know.
Available from: https://www.petmd.com/dog/care/cbd-oil-dogs-what-you-need-know .
5. American Kennel Club (AKC).
CBD Oil for Dogs: What You Need to Know.
Available from: https://www.akc.org/expert-advice/health/cbd-oil-dogs/ .
6. 厚生労働省 薬事・食品衛生審議会.
日本国内におけるCBDの規制状況.
Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000183313.html .
7. Mellow CBD.
CBD情報メディア「Mellow」.
Available from: https://mellow-cbd.jp .
8. Veterinary Cannabis Education & Consulting.
Clinical perspectives and case reports on veterinary CBD use.
Available from: https://www.veterinarycannabis.org .
M&N'sCBDのスタッフである商品開発米山と、カスタマーサポート上田でコラムを更新しています。商品のこと、CBDのこと、よくあるお客様の声などについて詳しくご紹介します。