更年期の膣の痛み・性交痛の原因と対策|デリケートゾーンの潤いを守る方法

2025.11.12

更年期に増える膣の痛みや性交痛。その原因は、女性ホルモンの低下によって起こる乾燥や萎縮性膣炎かもしれません。本記事では、医師監修の正しい知識をもとに、デリケートゾーン専用の保湿ケアや低刺激ソープ・オイルの選び方、骨盤底筋トレーニングまで、潤いを守り快適さを取り戻す実践的な対策を丁寧に解説。40代・50代女性のためのフェムケア情報が満載です。

はじめに

「最近、膣がヒリヒリする」「性交時に痛みを感じるようになった」
そんな悩みを抱える女性は、実は少なくありません。特に40代後半から60代にかけて、女性ホルモンの変化によってデリケートゾーンの不快感や性交痛を感じる方が増えてきます。
このような症状は、「年齢のせいだから仕方ない」と我慢してしまう方も多いのですが、正しく理解し、適切なケアをすることで大きく改善することが可能です。

本記事では、更年期に起こる膣の痛みや性交痛の原因と、それに対する対策、そしてデリケートゾーンの潤いを守るためのセルフケア方法について、医学的な視点を交えながらわかりやすくご紹介します。

更年期に膣の痛みや性交痛が増えるのはなぜ?

女性ホルモン「エストロゲン」の減少が主な原因

更年期に入ると、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく減少します。このエストロゲンには、膣や外陰部の粘膜を潤わせ、ふっくらとした状態を保つ働きがあります。

エストロゲンが減少すると、以下のような変化が起こります。

  • 膣粘膜が薄くなる
  • 潤い(膣分泌液)が減少する
  • 膣や外陰部が乾燥してヒリヒリする
  • 炎症が起こりやすくなる

これらの変化により、ちょっとした刺激でも痛みを感じやすくなり、性交時にも痛みや違和感を伴うことが多くなるのです。

閉経後女性の約半数が経験する「萎縮性膣炎」

医学的には、こうした状態を「萎縮性膣炎(いしゅくせいちつえん)」と呼びます。日本産科婦人科学会によると、閉経後の女性の約40〜50%が萎縮性膣炎の症状を経験していると報告されています。

これは決して珍しいことではなく、多くの女性が同じような悩みを抱えているということです。誰にでも起こり得る自然な体の変化なのです。

膣の痛み・性交痛の放置によるリスク

「少し我慢すればいい」「誰にも相談しにくい」
このように考えてしまいがちですが、放置することで以下のような影響が出ることがあります。

  • 性交への恐怖感・回避感
  • パートナーとの関係性の変化
  • 尿漏れや頻尿などの骨盤底筋の衰えにつながる
  • デリケートゾーンの慢性的なかゆみ・炎症

早めに気づき、適切にケアすることで、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。

実際に、「痛みがあるけど、病院に行くほどでもないと思って…」「パートナーにどう伝えたらいいかわからず、距離ができてしまった」といった声もよく聞かれます。我慢が重なると、心の負担も大きくなってしまいます。

デリケートゾーンの潤いを守るための具体的な対策

1. 保湿ケアを習慣にする

膣や外陰部も、お顔や手と同じように「保湿」がとても大切です。更年期以降は、専用の保湿ジェルやクリームを使って、やさしく潤いを補ってあげましょう。

  • デリケートゾーン専用の保湿剤を使う
    市販のボディクリームやワセリンでは刺激が強すぎることもあります。pHバランスに配慮された専用のアイテムを選びましょう。

デリケートゾーン専用ソープ・オイルも併用を
 保湿の前には、やさしく洗い上げることも重要なステップです。洗浄力が強すぎる一般的なボディソープは、必要な潤いまで奪ってしまう可能性があります。
 そのため、デリケートゾーン専用のソープを使うことで、潤いを守りながら清潔を保つことができ、保湿剤の効果も高まります

 また、植物由来のオイルを使ったケアもおすすめです。ホホバオイルやセサミオイルなどには、保湿だけでなく、肌のバリア機能をサポートする作用もあるため、乾燥が気になるときの集中ケアとして取り入れるのも◎

 - 弱酸性・低刺激・無香料のソープを選ぶ
 - 肌なじみの良いオイルでマッサージすることで、血流促進やリラックス効果も期待できます

製品選びのポイント
 ・「婦人科医監修」や「皮膚刺激テスト済み」などの表示がある製品は安心感があります
 ・香料・アルコール・合成界面活性剤不使用のものを選ぶとより安全です

  • 使用のタイミングはお風呂上がりがベスト
    肌が清潔で柔らかくなっているお風呂上がりに、保湿剤をやさしく塗布することで、潤いが持続しやすくなります。

2. 婦人科での相談・ホルモン補充療法(HRT)

痛みが強かったり、日常生活に支障をきたす場合は、婦人科を受診することをおすすめします。

  • エストロゲンを補う治療(HRT)
    局所的に膣に塗布するタイプのホルモン剤もあり、副作用が少なく安全に使えるケースも多いです。
  • 診察を受けることで安心感が得られる
    自己判断せず、医師のアドバイスをもとにケアすることで、より早く症状の改善が期待できます。

3. デリケートゾーンを締め付けない下着選び

肌に直接触れる下着は、素材選びも重要です。

  • 通気性がよく、肌あたりのやさしいコットン素材がおすすめ
  • ナイロンやレース素材の締め付けが強い下着は、摩擦によって乾燥や炎症の原因になることも

毎日身につけるものだからこそ、「快適さ」と「やさしさ」を重視した選び方を心がけたいですね。

4. 骨盤底筋を鍛えるエクササイズ

骨盤底筋は、膣や膀胱、直腸などの臓器を支える大切な筋肉です。加齢や出産によってゆるみやすくなるため、更年期以降のケアが大切です。

  • 膣をキュッと締めるような意識で、1回5秒を10セットほど
  • テレビを見ながら、家事をしながらなど「ながらケア」でも効果的

骨盤底筋体操は、寝る前のベッドの上や、椅子に座ったままでも行うことができます。「3秒かけて締めて、3秒かけて緩める」を5〜10回繰り返すだけでもOK。

続けることで血流もよくなり、潤いアップにもつながります。日々の小さな積み重ねが、大きな変化につながります。

セルフケアと専門的ケアを組み合わせて、心地よい毎日へ

膣の痛みや性交痛は、決して「恥ずかしいもの」でも「我慢すべきもの」でもありません。更年期を迎える女性の多くが経験するものであり、正しくケアをすることで大きく改善する可能性がある症状です。

毎日の保湿や生活習慣の見直しといったセルフケアに加え、必要に応じて婦人科での相談も取り入れていくことで、デリケートゾーンの健康と快適さを取り戻すことができます。

まとめ|もっと自分にやさしく、心地よいケアを習慣に

更年期は、これまで頑張ってきた体が「一息ついてリズムを変える」時期。これからの人生をもっと心地よく過ごすための準備期間ともいえるのです。

そのため、この時期の膣の痛みや性交痛は、体の変化に対する自然な反応です。けれど、それに対して「どう付き合っていくか」を知ることが、これからの快適な毎日をつくる第一歩になります。

年齢を重ねることで変わる体にやさしく寄り添い、自分自身をいたわるケアを日々の習慣にしていきましょう。
「いつまでも心地よく、美しく、健やかに」そんな毎日を応援しています。