50代から疲れやすい・太りやすい・眠れないのはなぜ?|体の変化とインナーケア

2025.11.14

50代から「疲れやすい」「眠れない」「太りやすい」と感じるのは、年齢のせいだけではありません。ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れ、活性酸素や慢性炎症など、体の内側で起こる変化が大きく関係しています。この記事では、更年期に増える不調の原因を医学的にわかりやすく解説し、今日から始められるインナーケアの基本「栄養・腸内環境・運動・睡眠」の整え方もご紹介します。

はじめに

「最近、以前より疲れやすくなった」「夜ぐっすり眠れない」「なぜか太りやすくなった気がする」――。
そんなお悩みを感じていませんか?特に50代を迎える頃から、体調や気分に変化が現れる女性は少なくありません。
でも、それは“年齢のせいだから仕方ない”とあきらめていいものなのでしょうか?

fuwariでは11月14日(イイトシ)の「アンチエイジングの日」をきっかけに、日本美容内科学会理事長・青木晃先生に、50代女性の体に起こる変化の仕組みと、体の内側から整える「インナーケア」の大切さについて教えていただきました。

🎥 ウェビナーでの詳しい内容は、こちらの動画でご覧いただけます

なぜ50代から不調が増えるの?3つの根本要因

疲れやすい、眠れない、太りやすい――
これらは一見バラバラの悩みに思えますが、実は体の中で起こっている3つの変化が深く関係しています。

それが、次の3つです。

① ホルモンバランスの変化

女性ホルモン「エストロゲン」は、体のさまざまな機能を調整する働きを持ちます。
ところが、35歳ごろから徐々に減りはじめ、50代で更年期を迎えると急激に低下。

このホルモンの減少が、疲れやすさや気分の落ち込み、睡眠の質の低下、太りやすさといった不調を引き起こす根本的なきっかけとなるのです。

② 自律神経の乱れ

ホルモンの変化は、自律神経のバランスにも大きな影響を与えます。

自律神経は、体温調節や内臓の働き、睡眠・覚醒などをつかさどる“体の司令塔”のようなもの。昼間に活発に働く交感神経と、夜にリラックスを促す副交感神経が交互に働くことで、日中の活動と夜の休息のリズムが保たれています。

しかし更年期にはこの切り替えがうまくいかず、昼間にやる気が出ない、夜に目が冴えて眠れないといった不調が起こりやすくなります。

③ 活性酸素と慢性炎症の影響

さらに見逃せないのが、体の“内側からの老化”ともいえる「酸化」と「炎症」の問題です。

呼吸や代謝の過程で自然に生まれる活性酸素は、年齢とともに体内で増えやすくなります。若いうちは抗酸化力によって中和できますが、年齢とともにその力が低下。細胞が“サビつき”やすくなり、疲れや肌の老化、代謝の低下などにつながります。

また、自覚しにくい小さな炎症が体内で続く「慢性炎症」は、血管や組織にじわじわとダメージを与え、不調の土台をつくってしまうのです。

不調の“つながり”を理解すれば、対策が見えてくる

「ホルモンバランスの変化」「自律神経の乱れ」「活性酸素や慢性炎症」。
この3つはそれぞれ独立したものではなく、相互に影響し合って不調を引き起こすという点が重要です。

たとえば…

  • ホルモンの変化が → 自律神経を乱し → 睡眠の質を悪化させる
  • 自律神経の乱れが → 代謝や免疫に影響 → 疲れや太りやすさを引き起こす
  • 活性酸素の増加や炎症が → ホルモンの働きをさらに低下させる

といったように、体の中では“負の連鎖”が起こっているのです。

自律神経は“体のオーケストラの指揮者”

自律神経は、私たちの体を音楽にたとえるなら「指揮者」のような存在。

ホルモンや代謝、免疫といった“演奏者”をうまくまとめ、日中は活動的に、夜はしっかり休むというリズムをつくっています。

しかし更年期にはこの指揮が乱れ、昼間なのにだるい、夜なのに眠れない…といった“演奏の乱れ”が生じてしまいます。

このバランスの乱れが、結果として疲労感・気分のムラ・太りやすさへと波及していくのです。

交感神経の低下=モナリザ症候群にも注意

青木先生が警鐘を鳴らす「モナリザ症候群」も、交感神経の働きと深く関係しています。

これは、「Most Obesity kNown Are Low In Sympathetic Activity」の略で、交感神経の働きが落ちて代謝が下がっている状態を指します。

つまり、「体を動かすアクセル」がうまく踏めず、エネルギーが燃えにくい=太りやすくなるということ。頑張っているのに痩せない、何をしても疲れが取れない…と感じている方には、まさに当てはまる状態かもしれません。

見えない“酸化”と“炎症”がじわじわと老化を進める

体内で自然に生じる活性酸素は、加齢とともに増加し、それに対抗する抗酸化力は低下していきます。
結果として、細胞がダメージを受けやすくなり、肌の老化や疲れやすさ、体の機能低下が進みます。

また、慢性炎症は自覚症状がないまま進むため注意が必要です。小さな炎症が積み重なることで、体の内側に静かなダメージが蓄積され、さまざまな不調の背景となっていくのです。

更年期からのインナーケアで体を整える4つの柱

では、このような不調にどう対処していけばいいのでしょうか?

青木先生が提唱する「インナーケア」のアプローチでは、以下の4つの柱を整えることが重要とされています。

1. 栄養

体の土台を支える基本です。特に更年期には、必要な栄養素が不足しがちになるため、マルチビタミン&ミネラルなどのベースサプリメントで補うことが有効です。

2. 腸内環境

腸は“第二の脳”とも呼ばれ、ホルモンバランスや免疫にも深く関わります。発酵食品や食物繊維、乳酸菌などを積極的に取り入れることがポイントです。

3. 運動

激しい運動は必要ありませんが、軽い有酸素運動やストレッチを日常に取り入れることで、自律神経のバランスが整いやすくなります。

4. 睡眠

質の良い睡眠は、すべての不調を改善するカギです。寝る前のスマホを控えたり、ぬるめのお風呂でリラックスしたりといった、ちょっとした工夫が大切です。

サプリメントは“土台から整える”のがポイント

美容や健康によいとされるサプリメントは数多くありますが、「これが効くらしい」「あれが話題になっている」と、つい目的別の成分をあれこれ試したくなることはありませんか?

でも、実はサプリメントは「土台づくり」から始めることが何より大切なのです。

サプリメントの選び方を「木」に例えると、幹や根っこにあたるのが、マルチビタミン&ミネラルや、腸内環境を整える乳酸菌・ビフィズス菌などのベースサプリメントです。

これらは、体全体のバランスを保ち、栄養を効率よく吸収・代謝するための“基本のサポーター”。この土台がしっかりしていないと、どんなに良質な美容サプリやダイエット成分を取り入れても、十分に力を発揮できないのです。

逆に言えば、土台さえ整えば、その上に加える“枝葉”=目的別サプリメント(例えばビタミンC、鉄、コエンザイムQ10など)がスムーズに働き、より効果的なサポートが期待できます。

まとめ|“年齢のせい”にしない、自分を大切にするケアを

50代から増える「疲れやすさ」「眠れなさ」「太りやすさ」は、決して“年齢のせい”だけではなく、ホルモン、自律神経、酸化・炎症という3つの変化が重なって起こるものです。

でも、それは決してあきらめるべき不調ではありません。体のしくみを知り、インナーケアの習慣を取り入れることで、これからの毎日をもっと快適に過ごすことができるはずです。

次回は、インナーケアの柱のひとつ「栄養」にフォーカスし、マルチビタミン&ミネラルの選び方や取り入れ方について詳しくご紹介します。どうぞお楽しみに。